グランドラインにはルフィ達が立ち寄った場所だけでも古代から繁栄した文明があったらしい痕跡がいくつもあります。4000年前に建築されたと言うアラバスタの王宮、800年前に滅びてしまった、とは言え黄金郷と呼ばれるほど金を使いまくった(?)シャンドラの遺跡。あのドラム王国にしても、王宮は標高5000メートルの高地にあると言います。何故そんなところに建てたのかは疑問ですが、いずれにしろそんな場所にあれだけの城を建てるには相当の財力、労力、技術力が必要だったはずです。
それでは古代文明に限らず、そこに国ができ繁栄するために必要な物は何でしょう?
グランドラインに点在する国々はそれぞれはあまり大きくはない島にあります。
ですから全てが自給自足が可能なところは多くはないと思います。
そうなるとそこに国ができ繁栄するために絶対に必要な条件は「交通の要衝の地」になり得るかどうか、と言うことになりますね?
ところが・・・、グランドラインはルフィ達の時代でさえ航行に困難を極め命がけの冒険になるような海、です。4000年前にしろ800年前にしろ、そんな危険な海に浮かぶ島が「交通の要衝の地」になるでしょうか? 貿易の中心地になり得るでしょうか? そこが仮に独自の産業を持つ土地だったとしても目的地に無事着ける保証のないようなところに人が集まり文化が発達するのでしょうか?
もしかすると、古代文明が繁栄した頃、この世界の海に海王類が群生する「凪の帯(カームベルト)」も航行が困難な「偉大なる航路(グランドライン)」も存在しなかったのではないだろうか。
私がぼんやり考えたのはそんなことでした。
古代、そこは安全な航行ができる海だった。それ故にそこに点在する島々にはいくつもの豊かな国が発達しそれぞれが古代世界の中で枢要な国となっていた。そしてそれらを結ぶ航路を人々は「偉大なる航路(グランドライン)」と名付けた。・・・。
そんな想像が自然なことのように思えるのです。
それならば・・・
「凪の帯(カームベルト)」はいったいいつから存在するのか。
「偉大なる航路(グランドライン)」はいつからでたらめな天候と地磁気の異常に支配される地帯になったのか。
私の仮説が正しければ、どうやらこういったことがワンピース、ひとつなぎの大秘宝の重要なポイントになりそうです。
そして・・・
・・・・・
あっ、ちょっと先を急ぎすぎましたね。
もう少しゆっくりワンピース OnePiece の世界を楽しみながら考察を続けましょう。
この世界の海は、世界を一周する航路「偉大なる航路(グランドライン)」とそれに対して直角に世界を横断する大陸「赤い土の大陸(レッドライン)」によって4つに分けられている。「偉大なる航路」は「凪の帯(カームベルト)」に挟まれており、二分された「偉大なる航路」後半の海は「新世界」と称されている。
「偉大なる航路」「赤い土の大陸」により東西南北に区切られた海はそれぞれ「東の海(イーストブルー)」、「西の海(ウエストブルー)」、「南の海(サウスブルー)」、「北の海(ノースブルー)」と呼ばれる。上空には「空島」(「白海」、「白々海」)がある。シャンクスとバギーの会話によると、北極と南極も存在する。
ONE PIECEの地理 - Wikipedia より引用
この世界の一番の特徴は「凪の帯(カームベルト)」と「偉大なる航路(グランドライン)」の存在にあります。「偉大なる航路(グランドライン)」は島々の地磁気の異常でコンパスが使えず、少し進むだけでも極端に変化するでたらめな気象などもあり航行することがきわめて難しくなっています。またグランドラインを挟むように存在する「凪の帯(カームベルト)」はきわめて安定した気象の無風海域ながら、あるいはそれ故に、巨大な海王類(海に生息する凶暴な巨大生物)の群生する地帯となっていて危険きわまりないため一般の船は航行することができません。(海王類が怖れる毒を持つ大蛇をくくりつけたアマゾン・リリー、九蛇海賊団の船と船の気配を消すことができる船底に海楼石を敷き詰めた海軍の軍艦のみがこの海域を航行できるようです。)
「偉大なる航路(グランドライン)」はリヴァースマウンテンが入り口になっていて、そのちょうど裏側、中間点になる地点に聖地と呼ばれる世界政府の首都マリージョアがあります。マリージョアを超えた先は新世界と呼ばれているようです。
マリージョアの近辺は「東の海(イーストブルー)」、「西の海(ウエストブルー)」、「南の海(サウスブルー)」、「北の海(ノースブルー)」と「偉大なる航路(グランドライン)」の5つに分断された海の唯一とも言える結節点となりそれぞれの海との人や物資の往来のほとんどはここを通ることになります。(リヴァースマウンテン周辺は運行困難な運河によって分断されていますので交通、交易に利用される可能性はほとんどないと思われます。)
「赤い土の大陸(レッドライン)」のことは作中でほとんど触れられていませんので大陸内にどんな国や町がありどんな人が住んでいるか、交通がどうなっているかなどはまったく分かりませんがこの細長い大陸を横断する道路が一つもないとは考えられませんので、「東の海(イーストブルー)」と「北の海(ノースブルー)」、「西の海(ウエストブルー)」と「南の海(サウスブルー)」はマリージョアの近辺を通らずに往来することは可能と思いますが、それ以外はほぼ全ての人や物資がマリージョアの近辺を通ることになります。
そして、そのマリージョアを支配するのが世界貴族~天竜人。
どうやら、世界政府の力の秘密、世界貴族~天竜人の権威や財力の秘密はこの世界の構造そのものにありそうです。
シャボンディ諸島でさらわれた人魚のケイミーを人間オークションで買い戻し助けようとしたナミは天竜人の最初の一声で呆然となります。手も足も出ない金額を提示されたのです。
その時サウザンドサニー号にはスリラーバークから持ち去った宝が満載されていました。それは大海賊ゲッコー・モリアのほとんど全財産に近い物でした。ゲッコー・モリアは王下七武海の一人。その蓄えた財宝となると一般人から見ると途方もない金額だったはずです。しかしそれを上回る金額をまるで子供の小遣いのような感覚で扱う天竜人。その財力は想像を超えていました。
それもこの世界の構造を考えるとなるほどと思います。
全世界の交通、交易の6、7割、もしかするとそれ以上の物がマリージョアを経由するのです。
もしマリージョアでの交易を一部の商人に特権として許可し、そのかわりその利益から一部を上納させたとしたら・・・。その額は莫大な物になるはず。あるいはマリージョアを通過する交通機関すべてに税金をかけたとしたら、それもまた巨額な物になるでしょう。
そして特権を与えられた商人の側もその利権を守ることが一番大事なことになります。彼らが利権を守ることはまた同時に天竜人の権威を守ることに繋がるのです。
世界政府は170国以上の国家が加盟して成り立っていると言います。しかしそれを実質とりしきっているのはマリージョアの特権商人達とその利権を代表する政治家達なのではないかと思います。物語の中で世界政府の代表は五老星と呼ばれる5人の老人達でしたが彼らこそ特権商人達の代表かその後援を得た政治家、なのではないでしょうか?
いずれにしろ分断され極端に制限された空間となっている世界の構造こそが世界政府の力と世界貴族~天竜人の権威や財力を支える元となっているのは間違いないでしょう。
そうしてみると・・・
ワンピース、ひとつなぎの大秘宝とは何かの答えの鍵はこの辺にあるのではないか・・・
私にはそんな感じがするのですが・・・
さて?
「海賊王」って何?
と言うことです。
]]> (そう言えば、ワンピース OnePiece の中に出てくる女ヶ島 アマゾン・リリーは海賊行為の稼ぎで国を運営しているようです。と言うことはそこの皇帝ボア・ハンコックは文字どうり海賊女帝。でもルフィが目指している「海賊王」とは違いますよね。違うと言えば、ドラム王国のワポルはまさしく海賊をやっている王様でしたが・・・。でもこれも(絶対に)「海賊王」じゃないです(笑))
実は作中で「海賊王」とは何か、についてはあまり詳しく書かれてはいません。
ただこの物語の第1話で幼いときルフィはシャンクスに
「おれはいつか この一味にも負けない仲間を集めて!!
世界一の財宝みつけて!!!」
「海賊王になってやる!!!」
と宣言しました。
「海賊王」と「世界一の財宝」はセットのようです。
「海賊王」と言えば・・・
ゴールド・ロジャーは「偉大なる航路=グランドライン」を制覇した後、「海賊王」と呼ばれるようになりました。(シルバー・レイリーによるとそれは本人の意図した物では無くむしろ本人達にとっても意外だったとか。ただロジャー自身は気に入っていたようですが(笑))
確かにゴールド・ロジャーがその当時最も力を持った海賊の一人だったのは間違いないでしょう。でも他の大海賊達を皆従えるほどの圧倒的な第一人者だったかと言うと、どうもそうでもないようなのです。その頃もう白ひげはかなりの力を持ってロジャー達と何度も戦っていた、と言いますし、グランドライン制覇の少し前には金獅子のシキの大船団に包囲され九死に一生を得ると言うような戦いも経験しています。(第零巻第0話)
「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ・・・
探してみろ そこにこの世の全てを置いてきた 」
ゴールド・ロジャーが死の間際に残したその言葉が海賊時代の幕開けとなりました。
ロジャーが「この世の全てを置いてきた」場所というのがグランドラインの最後にある「ラフテル」と言う島でそこに「ワンピース-ひとつなぎの大秘宝」と呼ばれる宝が眠っている、と言われています。そしてその「ワンピース-ひとつなぎの大秘宝」を手にした物が「海賊王」になる・・・。
この「ワンピース-ひとつなぎの大秘宝」がルフィの言う「世界一の財宝」になるのかもしれません。
しかし、グランドラインのスタート地点、リヴァース・マウンテンでは7つの航路に分かれるログポースが最後はみなそこを示す、と言われる「ラフテル」を確認したのは実はロジャー達しかいないのだそうです。
そこにあるだろうこの「ワンピース-ひとつなぎの大秘宝」とはいったい何なのか。
う~ん、また疑問が増えちゃった(笑)
読むほどに魅力的な謎が増えていく、
それもまたワンピース OnePiece の面白さの秘密、なのかもしれませんね(笑)
(Dの意思って何? 失われた百年の秘密って何? 悪魔の実って・・・、色々考え始めると切りがありません。だいたいこの世界の構造自体何だかヘンテコです。これはいったい・・・、なんて考えてしなうと眠れなくなる(笑)しっかり作者の狙いにはまってしまって(爆)これが大ヒットの秘密、でしょうね。きっと。)
その疑問を少しでも解消するために・・・
次回からはワンピース OnePiece の世界について考えていきたいと思います。
戦いに負けたとき、彼の怒りの向かう場所は常に自分自身です。
相手への怒りや恨みではありません。
おれは、弱い。もっと強くならなければ誰も守ることはできない。
ルフィにとって戦うと言うことは「仲間」を守ることなのです。
「仲間がいる゛よ!!!!」
「あいつらに゛会いてェよォオ-!!!!」
バーソロミューくまによってバラバラに飛ばされていた麦わら一味はルフィの一番大変なときに側に居れなかったことを嘆きルフィの身を案じます。
彼らは自分たちの夢以上に実現したい大きな夢ができていたのにその時気づきました。それは・・・ ルフィを海賊王にする、と言うこと。
2年後に会おうというルフィのメッセージを受け取ったメンバーはそれぞれにその夢の実現のために行動を始めます。
ゾロは自分にとって乗り越えなければならない敵、だったはずのミホークにプライドを捨てて頭を下げ剣術を教えて欲しいと頼みこみます。
ナミは新世界の天候のすべてを知るためにウェザリアで勉強を開始します。
「ルフィは"海賊王"になるって言うんだから私だって並大抵の航海士じゃいられないのよ!!」
ウソップはボーイン列島でヘラクレスンに教えを請います。
「お前が"海賊王"になるために!!! おれは本物の"狙撃の王様"になってみせる!!!」
サンジはカマバッカ王国で"99のバイタルレシピ"を身につけるために奮闘。
「お前が海賊王になる為に おれは料理人として世界一のサポートをしてやる!!!」
チョッパーはトリノ王国で薬の研究を。
「お前の力になれるなら おれは本物の怪物にだってなりたい・・・!!!」
ロビンは革命軍の求めに応じて同行することを決意。
「ルフィ・・・
あなたのお父さんの下で世界の流れに身を投じれば・・・
― 少しは強くなれるかしら」
フランキーは未来国バルジモアのDr.ベガパンクの研究室に閉じこもり新しい技術の習得に専念。
「今まで以上に・・・!!どんな激しい冒険にも耐えられる技術を おれは身につける!!!」
ブルックはテーナグーナ王国の見世物小屋の中で・・・
・・・
40度に立つ練習・・・(アレッ(笑))
全員の気持ちはロビンのつぶやきとフランキーの叫びにすべて集約されるでしょう。
「誰かのために強くなりたいなんて 考えたこともなかった・・・!!」
「だからルフィ・・・
乗り越えていこうぜ!!! "新世界"の荒波も!!!」
そしてルフィはシルバー・レイリーの指導の下、さらに強くなるための修行に打ち込みます。
もう、誰も死なせない。
2年間の空白は麦わら一味にとって「仲間」の絆と夢の実現への思いを強く太い物に育てました。
彼らはそのために行動し一段と強く大きくなったはずです。
これから続く新世界でのルフィたちの冒険はますます目が離せなくなりそうです。
]]>コミック第2話(アニメ版では第1話)でルフィはコビーという少年と出会います。
コビーは釣りに出るつもりで間違って海賊アルビダの船に乗ってしまい、それから2年も雑用として使われていたのです。そんなコビーの話にルフィは簡単に言い放ちます。
「おれ お前キライだな-」
ルフィが「仲間」にしたいと思うのは、夢を持ちそれを実現させる覚悟を持っている者なのです。(コビーは海軍に入りたいと言うルフィとは正反対の目標を持っていましたからルフィは「仲間」には誘いませんでしたが、アルビダと戦うという勇気を持ったときからルフィの「友達」になりました。彼はその後もワンピース OnePieceの中で重要な存在になっています。もしかして彼が海軍・・・ではなく海賊になりたいと言っていたら麦わら一味の航海士はナミではなくコビーになっていた? でもそうすると物語もずいぶん違った展開になっていたでしょうね。サンジはメンバーに入らなかったかもしれませんし(笑))
ワンピース OnePiece の中でルフィたちの戦いはいつも「仲間」や「友達」のため、です。「仲間」や「友達」の夢のため、「仲間」や「友達」を守るため、「仲間」や「友達」の名誉のため。
相手が「悪」だから戦う、とか相手が邪魔だから戦う、なんてことはありません。人が困っているから、というだけのために戦うこともありません。
シロップ村を守るためキャプテン・クロと戦う、というウソップに加勢するとき、
「おれは同情なら受ける気はねェ!! てめェら帰れ!!」と言うウソップに
ゾロは、「立派だと思うから手を貸すんだ 」と言い、
ルフィは、「同情なんかで命賭けるか!」と言います。
命を賭けて村を守る決意を見せたウソップはもうその時からルフィたちの仲間だったのです。
リトルアイランドでMr.3らと戦ったのは姑息な手段で戦士たちの名誉を傷つけたからですし、
ドラム王国でワポルたちを叩きつぶしたのは、(ワポルがメリー号を食べたこともありますが(笑))チョッパーの掲げていた海賊旗をワポルが傷つけようとしたからです。
アラバスタでクロコダイルと戦ったのもただクロコダイルの謀略からアラバスタを救ってやろう、という正義の味方のような動機(笑)ではありませんでした。ルフィたちが「仲間」と認めたビビが命を賭けて戦おうとしていることだから、戦ったのです。
ルフィはビビに言います。
「お前なんかの命一個で賭け足りるもんか!!!」
「他に賭けられるものなんて私何も・・・!!!」
「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ!!! 仲間だろうが!!!!」
これがルフィの戦いなのです。そしてルフィの「仲間」への思いなのです。
]]>メンバーの過去を振り返ってみると、実は皆「家族」や「友達」、「仲間」との辛い別れを経験しています。ワンピース OnePiece は激しい戦いの物語でもあるのですが、作者は「殺す」と言う言葉をできるだけ避けているようで物語の中で作者が死を明示した事はあまり多くはありません。そしてその多くはメンバーの身の回りで起きているのです。
ゾロは少年時代のライバル、どちらかが世界一の剣豪になると誓ったくいなが事故死、ナミは育て親ベルメールさんを目の前でアーロンに射殺され、ウソップは母親を病気で失いました。チョッパーを息子と呼んだDr.ヒルルクは国王ワポルの前で自爆、サンジは嵐に巻き込まれ働いていた船と仲間を失い、ロビンは海軍のバスターコールにより母親も彼女を仲間と認めた考古学者たちも故郷も全てを奪われました。フランキーはスパンダムの謀略により師であった伝説の船大工トムさんを連れ去られ、ブルックは戦った海賊が使った毒によりルンバー海賊団のメンバー全てと死に別れました。彼らは皆痛切な悲しみを知っています。そして辛い孤独も体験しているのです。ですから彼らにとって「仲間」と言うのは言葉以上に重い意味があるはずです。
ルフィ自身も「家族」には恵まれていません。
ルフィが七歳の時、祖父から山賊ダダンに預けられ、そこで義兄弟となるエースと巡り会います。
エースから何故俺を追いかけるんだと問われ、ルフィはこう言います。
「お前を追いかけなかったら
おれは一人になる
一人になるのは痛ェのより辛ェ!!!」
「・・・お前、親は・・・」
「じいちゃん以外いねェ」
ルフィの「仲間」に対する思いの原点はここにあると思います。
一人になるのは痛ェのより辛ェ!!!
だから「仲間」を守るためにルフィは命も賭けるのです。
]]>海賊王と呼ばれたゴールド・ロジャーが、
その死に際に残した言葉が世界を大きく動かすことになりました。
「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ・・・
探してみろ そこにこの世の全てを置いてきた 」
『ONE PIECE』(ワンピース)は、尾田栄一郎による日本の少年漫画。および、これを原作としたテレビアニメ、アニメ映画、ゲームといったメディアミックス作品。1997年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されている。略称は「OP」「ワンピ」。
海賊となった少年モンキー・D・ルフィを主人公とする〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟を巡る海洋冒険ロマン。
さて、それでは普通の「おじさん」、「おばさん」まで惹きつけるワンピースの魅力とはいったいなんでしょう。
まず第一に上げられるのは・・・、面白いということ。
・・・・・・
いや、まあ(汗)
あったり前のことではありますが(爆)
激戦の少年雑誌で10数年もの長期連載を続けている作品のストーリーが面白くないはずはないですよね。
でもワンピースの魅力はただ一つ一つのエピソードやストーリー展開の面白さだけではありません。この物語に深みや広がりを与え、読後に引きずる何かをもたらしているのは、人物造形の精密さとその量なのではないかと思います。
普通の小説や物語、コミックなどでも作者は主人公や主要な登場人物たちにはある程度、ストーリーの本筋には現れない過去やそのキャラクターを理解しやすくなるような情報は書き込みます。でも主人公やその周辺の視線で書かれる物語の場合は大概はその辺までで、敵対するキャラクターや主人公と距離のあるキャラクターについて目に見えている以上の情報が書き込まれる場合は少ないでしょう。
それがこの作品、ワンピースではルフィとその仲間たち、麦わら一味のメンバーにはそれぞれ長編ストーリーの主役になり得るくらいのストーリーが与えられていますし、その他の重要な登場人物にもルフィの味方はもちろん敵対する相手までその人物が一面的には見えないような書き込みがされています。(中には登場したとき、ルフィたちと戦ったときはただ悪い奴にしか見えなかったのが扉絵シリーズで再登場して違う側面を見せるなんて事もありましたよね。)
実際に生きている人間は一人一人、あなたは主役、あんたは悪役、君は脇役、お前は通行人(笑)、なんて役を割り振られているわけはありません。一人一人その人の人生ではその人が主人公・・・(あれっ、そんな歌あったね。おお、さだまさしの若き日の名曲「主人公」)
ワンピースがただ単純に面白いだけで終わらないのはルフィやその仲間たちの価値観だけで終わっていないからだと思います。それぞれの人物たちにはそれぞれの人生がありそれぞれの価値観、それぞれの思いがあります。正義、と言う概念だけでさえ一つではないのです。ある人の正義は別の人から見ると許しがたいことかもしれない。子供の頃はただ簡単に受け取っていた正義と悪、ということがそれほど簡単なことではないことに大人になるほどに身にしみてきます。作者はそんなことまで時には細密に、時には謎として読者に投げかけ、時にはほのめかすような形で書き込んでいきます。
ワンピースが大人にも(つまり「おじさん」、「おばさん」にも(笑))受ける一つの理由はこの作者の丁寧で密度の濃い、しかもすさまじい量の人物造形、キャラクターの書き込みにあるのではないかと思うのです。
しかしそんな親たちの期待を見事に裏切って、私は「漫画」好きの学生、から「漫画」好きのサラリーマンに、そして50代になった今もしっかり「漫画」好きのおじさんになりきってしまいました(笑)首尾一貫、見事な人生(汗)
とは言え、高校生以後愛読した漫画=コミックはほとんどいわゆる「青年誌」に載った物ばかりで、
少年雑誌に連載された物はどちらかというと苦手にしていました。
と言うのも少年雑誌と言う制約があるためかもしれませんがどうしても価値観が単純化された作品が多いような気がしていたからです。主人公やその仲間たちから見た正義に邪魔な物や敵対する物は悪、そんな物は排除されなければならない、と言った単純な考え方には入っていけませんし、その状況を改善するための手段が腕力、暴力、となるといよいよついて行けなくなります。まあ、そんな先入観でじっくり読んでもいない作品を決めつけるのも昔の「大人」たちと変わらない事になるのかもしれませんが(笑)
インターネットに親しむようになってからこの数年、ネット上でたくさんの人と知り合いになりました。
そんな中に「ワンピース」が好き、と言う人が結構多いのに驚きます。皆、私よりは若い人たちですが、立派な社会人、大人ばかりなのに、です。本来の少年雑誌の読者から言うと「おじさん」や「おばさん」ばかり(爆)
「ワンピース」
少年ジャンプに連載され、60卷に及ぶ単行本が出版され、なんと2億冊売れているというモンスター作品。テレビアニメの放映ももう10数年続いています。
「ワンピース」について全く知らなかったわけではありません。
特にテレビアニメは放映開始からしばらくはたまに見ていたはず。
ただ、集中してみていたわけではないので、その頃は何だか訳が分からない(笑)作品と思っていました。ちょっと苦手な少年雑誌(特に少年ジャンプ(笑))の典型的な作品?・・・かな、と。
でもネット上での友人たちに薦められたり、色々な評判などを見る内に興味がわいてきました。
あの作品の何がそんなに大人たちまでを惹きつけるのだろう?(しかもいわゆる「オタク」的な人種ではなく普通の「おじさん」、「おばさん」たちまでを巻き込み惹きつける魅力とは、何?)
そんなわけで私の「ワンピース」体験が始まりました。
最初は軽い気持ちで。
それがいつの間にか・・・
完全に惹きつけられ、巻き込まれ(笑)
確かにこれは・・・
すごい作品。
これからここに書き連ねるのは
たった2ヶ月ばかりのにわか「ワンピース」愛読者の
「ワンピース」の世界に関する考察のあれこれです。
]]>