トップページ >ワンピース テーマ> ワンピース OnePiece  「仲間の絆」の物語 その1

ワンピース OnePiece  「仲間の絆」の物語 その1

ワンピース OnePiece の「終着点」にあるだろう大きなテーマとは別に、この物語の通奏低音のように流れている重要な主題、と言うかキーワードに「仲間」と言う言葉があります。
それはまずルフィの「仲間」探しから始まり、時には「友達」「友情」の物語になり、時には「家族」の物語に、と変奏を重ねながら常にワンピース OnePiece の世界を彩っています。ワンピース OnePiece は「仲間」(「家族」)の絆が一番のテーマ、と言っても過言ではないと思います。
(ワンピース OnePiece 第一部のクライマックスとなったマリンフォード頂上戦争の大きなテーマは「家族」でした。大海賊白ひげは「息子たち」の為に戦い、「息子たち」の為に死んだのです。それ故に兄を救うために命をはったルフィを見てそこに未来の海賊王の可能性と同時に自らの心の後継者の可能性も見たのでしょう。白ひげが一番隊長マルコにさりげなく命じた「アレを死なすんじゃねぇぞ。」と言う言葉は残された白ひげ海賊団にとって意外に重い意味を持つことになるかもしれません。)

麦わら一味のメンバーは皆ルフィの「仲間になろう!」と言う言葉に応じて、仲間になりました。(一人ロビンだけは逆に強引に入ってしまった、という感じですが(笑))
彼らにとって「仲間」の意味はどんなものなのでしょう?

メンバーの過去を振り返ってみると、実は皆「家族」や「友達」、「仲間」との辛い別れを経験しています。ワンピース OnePiece は激しい戦いの物語でもあるのですが、作者は「殺す」と言う言葉をできるだけ避けているようで物語の中で作者が死を明示した事はあまり多くはありません。そしてその多くはメンバーの身の回りで起きているのです。
ゾロは少年時代のライバル、どちらかが世界一の剣豪になると誓ったくいなが事故死、ナミは育て親ベルメールさんを目の前でアーロンに射殺され、ウソップは母親を病気で失いました。チョッパーを息子と呼んだDr.ヒルルクは国王ワポルの前で自爆、サンジは嵐に巻き込まれ働いていた船と仲間を失い、ロビンは海軍のバスターコールにより母親も彼女を仲間と認めた考古学者たちも故郷も全てを奪われました。フランキーはスパンダムの謀略により師であった伝説の船大工トムさんを連れ去られ、ブルックは戦った海賊が使った毒によりルンバー海賊団のメンバー全てと死に別れました。彼らは皆痛切な悲しみを知っています。そして辛い孤独も体験しているのです。ですから彼らにとって「仲間」と言うのは言葉以上に重い意味があるはずです。

ルフィ自身も「家族」には恵まれていません。

ルフィが七歳の時、祖父から山賊ダダンに預けられ、そこで義兄弟となるエースと巡り会います。
エースから何故俺を追いかけるんだと問われ、ルフィはこう言います。

「お前を追いかけなかったら
おれは一人になる
一人になるのは痛ェのより辛ェ!!!」
「・・・お前、親は・・・」
「じいちゃん以外いねェ」

ルフィの「仲間」に対する思いの原点はここにあると思います。

一人になるのは痛ェのより辛ェ!!!

だから「仲間」を守るためにルフィは命も賭けるのです。